僕が君に捧げる遺言

文章を書きます。湯涌付きの恋愛玄人。ピュアに生きたい筈だったのに

酒を浴び笑ってばかりの国

 

 

大人になった僕は酒を飲んだ。

 

 

 

 

子供の頃何故こんなものを…?と感じていた。酒という魔物に僕は見事に虜になった。

 

 

 

 

 

 

本当に不思議な魔物だ。

 

 

 

僕は、オッサンが好きじゃない。

 

 

 

それは嫌いな会社の上司であり、疲れている町の象徴でもあるから。

 

 

 

 

 

でも、僕はオッサンが大好きでもある。

 

 

 

 

そんな町の何かはそんな疲れたオッサンなしには成り立たないし、僕の好きな父親はオッサンだからだ。

 

 

 

 

 

 

 

相反する言葉を並べたが、良くも悪くもオッサンという生き物がとる一つ一つの行動は、若い人に感染する。

 

オッサンがため息をつくと、なんだかため息って大人っぽいなぁと子供は思う(かもしれない)し、オッサンが愚痴をこぼせばそれが大人のアジなのだなぁと感じる(かもしれない。)

 

 

 

 

 

 

そして、オッサンが汚い居酒屋でガハハガハハと笑いながら酒を飲む

 

 

 

 

すると僕みたいな、ガキにとってそれはとても魅力的なことなんだなぁと思えてしまう。

 

 

 

 

 

 1日をボロボロになるまで頑張った彼らと、そんな彼らの長年の癒しの場であった赤提灯の居酒屋さん。

 

 

 

 

 

 

壁は煤けているし、匂いだって汗と煙草が入り混じったすえた臭いが充満している。

 

 

 

でも、僕はそんな空間が好きだ。

 

 

 

 

僕はそこで、仲間とガハハガハハと笑い合う。品のないことを口にして笑い合う。

 

 

帰り道寒空の下、フラフラになりながら歩く夜道で聴く音楽は自分を大人にさせてくれている(気がする)

 

 

 

 

僕はきっと大人になっている

 

 

 

 

 

なりたくなかったオッサンに着々と近づいている。

 

 

 

なぜなら

酒飲んで笑う

 

 

こんな単純でしょうもない事が

 

 

 

今では

めちゃくちゃ楽しいことなんだもの。