安らかに美しく油断していた。

僕は昨日の夜セックスについて永遠に考えていた。

僕が言葉にし難い虚しさを胸に抱えながら筧美和子さんの動画を見ながら慰めの自慰行為に及んだ。

自慰行為

よくよく見るとなんていう漢字だろう。

自分を慰める。

自分で慰める？

まさしく今の私にうってつけの行為ではないか。

自慰行為を終えた後僕は文字通り瞬く間もなく眠りに落ちた。

いつも通りとても浅い眠りだった。

起きたのは7時10分だった。

炊飯器のスイッチを押し、カーテンを開け日の光を浴びながら

日の光の中、右手で昨夜、自分の精子を拭き取ったティッシュの残骸を撫でながら左手にスマートフォンでいつも通りヤフーニュースを開いた。

ミサイル

またか。

と思ったが、どうやら今回のものはこれまでのものに比べ格段に危険度が増している。

調べていくうちに眠気は通り過ぎ

言葉にし難い感覚を抱いた。

東北に住む友人からは物凄い音の警報が鳴っていたという報告が届いていた。

私は健やかな日の光の中で、石垣りんの挨拶という詩を思い出さない訳にはいかなかった。

あ、
この焼けただれた顔は
一九四五年八月六日
その時広島にいた人
二五万の焼けただれのひとつ

すでに此の世にないもの

とはいえ
友よ
向き合った互の顔を
もう一度見直そう
戦火の跡もとどめぬ
すこやかな今日の顔
すがすがしい朝の顔を

その顔の中に明日の表情をさがすとき
私はりつぜんとするのだ

地球が原爆を数百個所持して
生と死のきわどい淵を歩くとき
なぜそんなにも安らかに
あなたは美しいのか

しずかに耳を澄ませ
何かが近づいてきはしないか
見きわめなければならないものは目の前に
えり分けなければならないものは
手の中にある
午前八時一五分は
毎朝やってくる

一九四五年八月六日の朝
一瞬にして死んだ二五万人の人すべて
いま在る
あなたの如く 私の如く
やすらかに 美しく 油断していた。

こんな自体でも、SNSでは小さな承認欲を満たすために虚言を吐きまくる人間に溢れている。

スマホを睨む私の表情は歪んでいく

安らかに醜く油断していた僕には生きる道はないのかもしれない。